高野さんはハザマにいた。医療従事者のときも、エステサロンに勤めていた時も。お客様や患者と向き合う中で、体の不調が出る前に自分ができることはないのか考えていた。しかし、できることはあっても高野さんの置かれた状況下では限界がある。それは高野さんも分かっていて、どうすればブレイクスルーできるのか悩んでいた。

「さまざまな症状の患者さんと話していて自分の中で違和感というか。勝手に壁を作っていたかもしれませんね。理学療法士時代は、病気や障害を抱えた患者を社会復帰するお手伝いでした。しかしながら障害を抱えた方々はまったく元通りになることは難しく、身体機能を体のいろいろな部分が補い合いながら機能改善していきます。前の状態に戻るのではなくて、アップデートされるというか…。14年間従事してきた間もこの憤りのない思いを痛感しました。その辛さと向き合っていく中で『予防する事』が大切であると実感。『アーユルヴェーダ』と出会ったことで手技や知識を学び、障害予防の大切さを伝えるには『アーユルヴェーダ』であると改めて認識しました。また、エステサロンという枠組みではどうしてもできることが限られます。『予防医学』の大切さを『アーユルヴェーダ』と掛け合わせることで、多くの方にこのメソッドを伝えることが私の使命であると考えるようになっていきました」

ありそうでない、高野さんが考えたメソッドを表現するならこういうコトバだろうか。アーユルヴェーダも理学療法もコトバ自体に馴染みはあるけれど、この2つを掛け合わせることでどんな施術になるのかは想像がつかないのが本音である。

 

計り知れないほどの大きな愛、そして、心のよりどころ

それにしても高野さんと話をするほど謎である。アーユルヴェーダを語り始めれば熱量マシマシで、理学療法の話題となれば真剣な眼差しに。そして、一番驚いたのがちょっと余談をはさんだ時に見え隠れした、スケジュール帳に挟まれているインスタントカメラの写真!な、ん、と!ワイルドハートことプロレスラー・大森隆男氏である。得意技はアックスボンバー。そう、スタン・ハンセン氏のウエスタン・ラリアットを改良した技であり、アメリカの超有名プロレスラーであるハルク・ホーガン氏と同じ技である。そんな大森氏の超レア写真がなぜ高野さんのスケジュール帳に、まるでしおりのごとくはさまれているのか…。高野さん、いいセンスしてますねぇ!

「私が生まれ育ったまちは三条です。そうです、ジャイアント馬場氏と同郷です。両親は根っからのプロレス好きで、そういう環境でしたから幼い頃からプロレスを見ていました。三条でプロレス興行があれば家族全員で観戦したり、選手との触れ合う機会があれば前のめりだったりして(笑)かっこいい選手はたくさんいますが、私には大森選手が輝いて見えて、ノーフィアー!なんですよ(笑)」

筆者は編集者時代、唯一のプロレス担当であったため高野さんが発するプロレス関連コトバはごく普通の感覚で聞いている。プロレスのプの字も知らない、むしろ興味のない人にとっては理解できない世界!という状況であることは十分承知である。

「プロレス好きの女の子は声を大にして『アックスボンバー!』なんて言いにくいですよね。世の中もっと受け入れてくれればいいのに(笑)」

高野さん、プロレス愛に満ちあふれています。熱く語るのは当たり前。高野さんの愛はメルアドにも(笑)ファッションにも(爆)どことなく立ち居振る舞いにも(泣)ファイヤー!であります。

「だからといって、施術にプロレスは持ち込んでいませんので!(笑)」

 

不安な気持ちを自信へ切り替える行動力「ひとまず自分でやってみる」

どうしてもプロレスのコトで頭がいっぱいになるけれど…高野さんは独立した(唐突で恐縮です)。オープンに至るまで、特に苦労したことは物件探し。意外と…空き物件が見つからない。決まりつつある物件もいろいろあって白紙に(泣)。情報網を駆使しつつも「地道な活動がベストでした」とのこと。ほか、資金調達を目指して創業計画書を何回も見直してシミュレーションを行い、自信を持って開業日を迎えられるようベストを尽くした。

「1つひとつがドキドキで、届出とか面談とか審査とか『本当にこれでいいのだろうか』と不安になりますよね。もちろん、その瞬間は緊張しましたが、事前にイメトレしていたので覚悟はしていました」
心配するほど精度を高めていったのは本能的なものだと感じた。まさに!プロレスイズムだろうと勝手に思っている。だが…高野さんはちゃんと用意周到にストーリーを作っていた。

「ホームページとかチラシは自分で作れますし、マーケティング戦略も経験がありますからコツコツと準備をしていました。手続き当日は『そういう状況になるだろうな』と想定していましたね。不思議なことに、準備を進めるほど不安な気持ちが自信に切り替わっていったと思います」

高野さんとは「こんな感じのチラシが響きますね」と話した数日後にはブツができている。そのスピード感といったらエルボー・スマッシュ並みであろう(分かりにくい例えで恐縮です)。ほかにも、ホームページや広告関係はもちろんのこと、顧客情報の管理方法や解析・分析ツール、地図、写真、イラストなど、となんでも自分の力であっという間に作ってしまうのだ!

「ついつい自力でやってしまいます(笑)」

 

話が脱線しましたが…RAVIは本気で目指す場所がある!

高野さんとお会いしてから何カ月が経過しただろうか。会うたびに異なるプロレスTシャツを着ていて、一体何着持っているのか気になってしまう。念のためプロレスTシャツがいつものファッションなのか聞いてみると「いえいえ、いつもは違うんですよ(笑)」との返答にホッとした。

「タンスには数え切れないほどあるんですよ!着ていく先がないので悲しいですが(笑)」

2023年3月21日、『ボディーケアサロン RAVI』はオープン。すべてではないけれど、今できることは出し切った。気になることは専門家を頼り、さまざまな立場の人の意見を聞きつつ、個人事業主としての判断を適切にできるように努めた。一番の不安だったことは、新しいお店になっても今までの顧客がどれくらい来店してくれるかということ。見込みはあっても確実ではないため、自分の存在をいかに知ってもらうか情報を出し続けた。

「あとは体験を積み重ねていくだけです。楽しみながら頑張っていきます!」

 

 

プロレスで言うところのスクワット。

すべての基礎はこのスクワットに集約される。

この意味こそ、高野さんの思いが込められているのではないか。

「それ、プロレスの話ですよね!」

まさに!脱線しすぎた高野さんのインタビュー。

大変失礼しました。

アーユルヴェーダ、理学療法士、どれをとっても素敵なメソッドです。

「そのとってつけた感!」

癒しの世界と運動機能回復、体もメンタルも開放するRAVI。

そして予防することの大切さを、唯一無二のメソッドで。

高野さん、すみませんでした!

 

 

高野香織さん

新潟県内外の総合病院、老人保健施設にて理学療法士として勤務。その後、アーユルヴェーダの世界に魅せられ、エステサロンの業界へ。店長に就任後、マネジメントのみならず顧客サービスまで担当。2023年春、念願となるお店「ボディーケアサロンRAVI」をオープンした。

トータルボディーケアサロン RAVI
住所:新潟市中央区米山6-11-22新潟ロイヤルマンション4F
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