若気の至りというけれど、知る機会がなかった。若さゆえに突っ張っていて、知らなかったから突き進むコトだってできた。心が折れることもあった。会社のために誰よりも頑張って働いた。だけど、気がついたらお客さんはいなくなっていた。なぜなのか…わからないままのどん底へ突き落とされた…。
あれから数十年後、そんな時代を生き抜いてきたからこそ立てる舞台があった。やらなきゃいけないことがあると自覚。弱さを知っているから強くなれるし、苦労を知っているから一緒になって星空を眺めることもある。「明日へ向かって行きましょうよ!」その男、春川英広、辰年漢。
「86-Projectsは86のプロジェクトをしたら解散しようと思っている法人です。ですので、あといくつでしょうか。80くらいかな。何年くらいかかるかは分かりません。歩いていけばその時がやってきます」
なぜ86なのか。8=は、6=る、ということのようで、車のナンバーも86。86と聞くと例のハチロクなワケだけどまったく関係ないというからウケる。春川さんの出身地は柏崎で、鯨波周辺ではイニシャルDのロケが行われた(筆者もこの映画に出演している!これも何かの縁なのか、いや気のせいか)。ハチロクといえば人気車種だし。たまたまの偶然でしょうけど、今回は知っていますよねぇ!どこか狙っている感じがするのは私だけではないはず!
「言われて気がつきました!本当ですよ(笑)」
若くして家業を継ぎ、気がついたら市場の競争に飲み込まれ、巨額の負債を抱えてしまい倒産。その経験から、経営相談や起業・創業を支援する公的機関へ入所。資金繰り、事業計画書、経営改善、イノベーション、スタートアップ、マーケティング、補助金や助成金など、あらゆる角度のビジネスシーンを深いところまで関わってきた結果、街を歩けば「春川さ〜ん!」となるワケで、ご指名対応もずば抜けた多さに。家業時代よりも激しい働き方で相談対応件数といったらハンパない状態となった。
「皆様に経営や起業・創業に役立つ支援機関であることを知ってもらうこと。これを第一に相談件数やセミナーの質にこだわってきました。メールよりも電話、電話よりも対面、訪問。相談したい人たちはすぐにでも解決したいじゃないですか。モヤっとした気持ちを抱えているのってストレスですし。いざという時に話を聞いてくれる場所があるって、経営者にとって重要なんです。だって、危機迫っている時にたらい回しにされたり、相手にしてくれないことの寂しさ、虚しさといったら…。そんな状況なのに、忙しいからって自分都合で先延ばしにすることなんてできませんよね」
支援機関には約10年在籍。対応件数は6,800件にのぼる。事業統括マネジャーとして、セミナーの品質や事業の方向性、立ち居振る舞いまで取りまとめた。公的機関という属性上、思うように動けない制限もあったが、ギリギリのところを攻めた。すべては相談者のために注いできた10年。そして2023年春、新たなるプロジェクトを立ち上げ、春川さんは大きな空へ羽ばたいていく。
PM9:23 とある中華料理店にて。
「いつかピリオドを打つ時がやってきます。その打ち方が大切で、自分で打つのか、必然的に打つのか、周りから促されるのか。ピリオドを打った後にどんな心境になっていくか、その向こう側を見据えていた方が賢いと思うんですよねぇ。まぁまぁ注ぎますよ、もう1本いきます?今度は何?えっ餃子?いいですねぇ」(瓶ビール1本目)
「SWOT、3C、4Pとか、考えて悪いってコトではないんですけど、見渡してみるとそう言ったフレームを使って分析した場合の事業の伸びってねぇ。良くも悪くもですよ。人それぞれの考え方がありますから何とも言えませんが、私はそれより別の考え方で純利を伸ばすお手伝いを全力でしますねぇ。ん?そろそろもう1本?麻婆麺ですか、白いワイシャツですから気をつけないと!」(瓶ビール3本目)
「ちっちぇーなって思うワケですよ、その考え方が!もっとドーンと、懐の深さというかね、器の大きさですよ。私、自分の会社をダメにして気がついたんですよ。どこ見て事業やってんだと!振り返ってちゃんとお客様がついてきてくれているのかって!あ、すみません熱くなっちゃって。シメます?なになに?今度はサンドイッチって!」(瓶ビール7本目)
春川さんの飲み会はハードである。気遣いといったら半端なく、同席したメンバーのオーダーをしつつも席を離れ電話(笑)トイレに行くと見せかけてメールと電話(笑)自身も経営者、連絡先も経営者となれば四六時中が仕事モードである。ようやく落ち着いて飲み始めたのかと思いきや撃沈!日中のエネルギー消耗が激しいため、2件目からほぼ記憶が飛ぶらしい。しかし、記憶は飛んでもちゃんと足跡は残すようにしているというが、その記録方法はまた今度ということで。
PM8:45 とあるオフィスにて。
「一般的なコトを言っても何も解決しませんよね。経営者それぞれの状況に沿って的確に、ちゃんと向き合って話をしないといけません。そうなると最短距離で懐に入ります!表面的な話って相手に失礼ですし。『そんな話を聞いているんじゃない』ってね。解決したいコトは何かが優先されます」
「全力支援です、全力!その瞬間を生きているので今が大事。その瞬間に対して何ができるかってコトです。じゃ明日、ってダメですよ。今日のことは今日に済ませることが基本です。周りを見渡せばみんなすごい勢いで動いているワケですよ。すごいなぁーって思いますよね。ところで、ラーメン行きます?明日にしましょうよ、それ!(笑)」
「セミナーって難しいですよね。オンラインになったので環境が激変しました。とはいっても、ターゲットとかクオリティーとか、セミナー自体の考え方は変わりません。『誰=ターゲット』の設定がないとどこ向かって話をしているのか見失いますし、『なぜこのテーマか』がないとブレる可能性があります。冒頭で『結論』にふれておかないと期待値と大ブレ。そこですよね、そこ!えぇ!?どこですって?」
念のため言っておきますが始業は8時30分、就業は17時15分。春川さんの始業は18時ごろ!なんですねぇ。それまで何をしているかというと「それ、言わないでくださいよ~」ということですので、こちらもまたの機会に。
AM11:45 とある電話にて。
小林さん違いですけど妙に話が成り立っている、の巻
「はい、春川です。あ~小林さん、お世話になっております。そうそう、持続化補助金でしたよね。募集期間は確か…なんですけど。えっ?その小林さんではない!?どの小林さんでしたっけ。…あ~、あの小林さんですか。思い出すもなにも、そうですね、パンのお話でしたよね。えっ違う?佐藤さんでしたか!」
補助金メニューを知りすぎている、の巻
「はい、春川です。あ~あの補助金、1/3だったかな、1/2だったかな、あ、違いますね。3/4?あー思い出しました。そんな率、ありませんでした。10/10ですね」
アポイントが多くてよく分からなくなっている、の巻
「△▽さん、本日の11時30分からのご対応なんですが…。はい、そうなんです。えっ、19時?11時だと思ったんですが…あ、聞き間違えていました19時でしたね。では今日の19時…え、明日?そうでした!その確認でしたよぉ~いつもありがとうございます」
春川さんは多忙である。忙しすぎるために毎日綱渡りと言うが、実はそんなことはまったくなく、人違いだとしても違っていない雰囲気を醸し出すのは特技だろうか。話しているとどっちがどう間違っていようと、春川さんと話せただけでもよかった!と思うのは私だけではないと思う。
娘さんに仕送りはできるか!? 「86-Projects」の展開に期待!
今まで起業・創業支援をしてきたが春川さんが、今度は自身が起業した。娘さんが大学入学というタイミングの起業。親としたら出費が心配になるけれど、出費よりも先行きが不安である。この先どうなるのかわからない。しかし、起業や退職のことをFacebookにアップすると、いいね数とコメント数がハンパない。よく数字が人柄や事業を表すと言われるが、まさにその通り。春川さんが歩いてきた道、向き合ってきた人たちからの信頼と期待がそのまま数字として出ていた。
「嬉しい限りです。本当に嬉しい。皆さんがいたからこそ、思い切った選択ができましたし、起業することも自信を持てました。ありがとうございます」
86-Projects以外にも、業務委託を受けたりプロジェクトに参画したり、4〜5つほどの案件を同時進行で進めている。新潟と柏崎の2拠点を軸に東京案件もあり、活動領域が一気に広がった。これで娘さんへの仕送りもひとまず安心だ。
「『回収は早く、支払いは遅く』では娘に怒られますから、ちゃんと仕送りをします!」
ビジネスに生きる漢、春川英広。
競争原理が働いたからこそ、
お客様のために努力を積み重ね、全力で向き合ってきた。
生きていれば当然、相性が悪い人だっている。
分かり合えない人だって、性格が曲がった人だっている。
喧嘩したり、言い合ったり、すごく怒っているんでしょうけど、
それは互いが認めているからこそ起こるコトでもあったりする。
『迷わず行けよ、行けばわかるさ。』とはアントニオ猪木氏の名台詞。
86という数字が持つ意味ってそういうコトなんだろうな、と感じつつも、
行った先々で笑顔になっている春川さんの姿が頭に浮かびます。
春川英広さん
柏崎市出身。ギフトショップを営んでいた家業を継ぎ、絶好調時代も続いたが資金繰り悪化で倒産。その後、経営支援・起業創業相談が専門の中小企業・個人事業を支援する公的機関に入所。10年間の勤務後、2023年春、自身の法人を設立。「まずは連絡ください!」とのことなのでビジネス相談はご連絡を!
86-Projects
新潟市&柏崎市&東京
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