飽くなき挑戦、新発見とイノベーション。脳科学の分野においてゴールはあるのだろうか。人間が脳機能をフル活用できる日がくるとすれば、それはそれは予測できないほどのコトが起こるんだろうという期待が膨らむ一方で、人間の歴史としてフル活用していない現状を考えると何かしらの理由があるだろ。また、潜在能力を引き出す方法としてホルモン分泌や質のいい睡眠、生活習慣の最適化、マインドフルネスなどが言われているけれど「分かっちゃいるけれど、なかなかできない!」と諦めがち。年を積み重ねるとともに、脳も体も心も老化するし…記憶力も低下して…性格もちょっと…(泣)結局のところ現状維持で精一杯である!
今回の主人公・五十嵐文さんは、あまりなじみのないトレーニング方法「ビジョントレーニング」を主軸とした事業を展開。ビジョン=目の動きのトレーニングとなるが、五十嵐さんの話を聞くほどに納得しつつ、今の時代にふさわしいものであることがしっかりと伝わってきた。


「眼球を動かすことが脳にも好影響をもたらすんです。LD、ADHD、ASDなど、凸凹した子供の発達にも効果的であることが学術的にも実証済。スポーツ界ではアスリートが導入するほどなんですよ」

今やデジタル社会。スマホやタブレット、ゲームなど、一家に一台以上ではなく一人一台以上、デジタル・デバイスを保有している。液晶画面を前にして若干の目の動きはあっても、目の筋肉全体としてはわずかの動きであるため脳への信号も鈍くなりがちである。それでいて長時間にわたり画面と向き合うワケなので眼精疲労は相当なもの。目の動きが頭、肩、腰など、全身に影響を及ぼすと言っても過言ではない。この目の動きがどのように発達障害改善に寄与していくかは、視神経を通じた脳機能への刺激であり、五十嵐さんの肌感としても、中長期的な実施で子供たちが変わっていったコトを実感。子供たちにとっても、親たちにとっても明るい未来につながるメソッドである。


「このビジョントレーニングで、たくさんの子供たちの発達に関わっていきたいですし、親も子もポジティブに暮らしていける環境を整えていきたいです」
親の気持ちとして「発達系のコトで相談したいけど相談する先が見つからない」という状況は身近にあって、こうした状況下における親のメンタル的な負担はとても大きい。ビジョントレーニングは、子供にも親にもいいトレーニングになるはずである!


「まずはやってみてほしいんです。ぜひぜひ!お願いします!」

 

目の動きと焦点を意識的に動かすことでアタマもココロもスッキリ

「まずは指を使って人それぞれの状態を確認します。こうやって人差し指を使って右に左に移動しながら眼球の動きを見て判断していきます。眼球の動きで大体はその人の状態を把握できます」


なんでしょう、この動き。ただ指を目で追うだけストレッチをしているかのような〝ほぐされた感〟がある。こんな単純な動きだけでも変化を感じたということは…可動領域を広げようと左右、上下、斜めなど、グルグルと眼球を動かしていくと、あ…なんかスッキリするようなこの感覚は何だろうか。


「今度は焦点。人差し指を直線状に距離を開けて立たせて、手前を見たら奥を見て、また手前を見て奥を見て、この動きを繰り返していきます」
なかなかの難易度だけど、目の中が動いているというか、どこかの筋肉が動いている実感はある。眼科に行くと図解されているピントを合わせるための、あの筋肉である。


「感じてもらっている通り、ストレッチが必要な人が多いのが今です。目って意外と動いていないんですよ。そのため、可動領域が狭くなって、運動機能的にも、脳としても、活性化しないというか。もっともっと動かすことで機能改善していきますし、体の基幹としても有意義に、充実していくと思います」
五十嵐さんの教室には新潟市内では初となるビジョントレーニング専用のマシーンが導入された。大きな壁に埋め込まれた丸型のライトが光るモノで、運動機能によって設定がいろいろあったりする。このマシーンこそ!救世主ともいえるべきモノ、らしい。


「高価なマシーンですから最初から導入するべきか、事業が軌道に乗ってきてキャッシュが蓄積されてからにするか、すごく悩みました。いろいろな人の意見を聞くと、このマシーンがもたらす恩恵、つまり子供たちを待たせることなく親も安心して教室に通えてポジティブな変化をもたらすことができると信じ、立ち上げ時から導入しようと決意しました!結構な金額ですから…緊張します(笑)」

 

地道な活動をしながら一人でも多くの人に見る力を届けていく

学生時代は「視能訓練士科」で目に関する分野を学び、卒業後は眼科に就職。今日に至るまで20年以上、総合病院から小さな眼科まで、さまざまな規模の病院勤務を経験してきた。視能訓練士、ホームヘルパー、ビジョントレーナーのほか、最近では児童発達支援士の資格も取得。子供の発達支援への関わり方を考えてきた。


「昔から子供の発達支援に関わってきて、ボランティア活動をしたり、それこそ目に関するサポートもしてきました。ビジョントレーニングと出会ったことで今までの概念というか、自分の中でとても大きな変化が起きました」
さまざまな論文を読みつつも、実際にトレーニングを子供が試してみて…見るからに変わっていることに気がついたという。


「もちろん個人差はありますし、結果はすぐには出ません。日々のトレーニングを積み重ねていくことで眼球の動きが改善されていき、見る力が養われていきます。この見る力は、情報処理力であったり空間認知力、動体視力など、いろいろなチカラに及ぼすと言われています。ビジョントレーニングは、はっきりとしたエビデンスはなく、今も研究が続いているんですよ。また、子供だけでなく、大人にも改善があると言われています」


五十嵐さんは今まで、延べ80人ほどにビジョントレーニングの基礎講座を受講してもらったという。半分はマンツーマンの個人レッスンとしてリクエストがあり、今も定期的に30名ほどリピートしているという。首都圏にあるビジョントレーニング教室はなかなか予約が取れないという状況で、五十嵐さんは情報公開はほとんどしていない中でのこの生徒数のため期待値は高いと言えるのではないか。また、保育園や幼稚園、障害者施設、放課後デイサービスや不登校支援の会においても講座を行ってきたという。これがほぼボランティアというスタンスだったのが驚き。ここまでの広がりは、何度も言いますけど期待大!なはずです。


「教材を使いながら行いますから、コツを掴めば自分でもできたりします。まずは目を意識的に動かすことの楽しさを体感してほしいと思います」

 

熱意があれば思いは伝わり、事業が〝華〟咲くコトを証明していく

2023年9月吉日、トレーニング教室はオープンした。1Fには連携している眼鏡屋さんがある。目に関することならココ!という新スポットになるかもしれない。
「人生初のことなので、予約の受付方法とかスケジュール調整とか、お店の案内の仕方とか、初歩的なコトが不安だったりします(泣)」


この拠点での教室開催のほか、出張教室もあったり、さまざまな施設での講座など五十嵐さんは多忙だ。そのため、ビジョントレーニングを知ってもらうほど予約が取れにくい状況になるコトもあるという。
「そこが悩みどころなんです。多くの人に知ってもらいたいですし、ビジョントレーニングを体験してもらいたい。宣伝活動もちゃんと取り組みたいですし、情報戦略も丁寧に取り組んでいきたいです。それにしても、全部自分一人でやるってコトですよねぇ?個人事業主の皆さんは、どうやっているんでしょうか。どうやって時間を作っていくか…すべてはビジョントレーニングのために頑張ります!」

 

思いだけではビジネスは成立しないと言われた。
しかし、ビジネスは思いがないと成立はしないし、
思いがないビジネスは継続もしないことが分かった。

「子供のために、お母さんたちのために、丁寧に伝えていくコトが使命です」

可能性が少しでもあれば、
その可能性を信じて突き進んでこそ、
人生楽しくなる。

「みんな不安なんです。心配ですし。だから、力になりたいし、知ってもらいたいです」

ちょっと…言いにくいのですが、
私もここ最近、目の動きに不安というか物覚えが心配で…。
「もちろんですよ!記憶力にも好影響があるか実感ください」

なんだか自信がわいてきた。

 

五十嵐文さん

専門学校卒業後、眼の世界へ。小さなクリニックから総合病院までさまざまな規模の眼科で勤務。発達支援の活動を行うことで知識が広がっていきビジョントレーニングと出会う。2023年秋、念願の教室をオープンした。ビジョントレーナー、視能訓練士。

はれいろビジョントレーニング教室
新潟市東区北葉町11-7-2F
ホームページ
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