「走っている車を見ていて『あ~、もっとこうすれば輝くのになぁ』と感じることもありますし、施工している最中も『そういえば新しい商材が出たし…試してみたいなぁ』と思ったり。そんなことを考えていると…独立かなぁってなりますよね」

学生時代、橋本さんはガソリンスタンドでアルバイトをしていた。給油から窓ふき、ごみ捨て、洗車まで一通り担当した。特に、洗車に関しては興味関心もあったことから次第に洗車熱が高まっていき、仕上がりを目にしたお客さんから喜びの声が届くようになった。この、お客さんから声をかけてもらったことと、喜びの声を直に感じたことが原体験となり、コーティングの世界へ足を踏み入れた。と言って間違いないところである。

「そうです(笑)」

洗車市場としては世界的には伸びている傾向で、日本市場においては新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ハイクラスなコーティングがウケているとの情報も。新潟においては、印象的には車をキレイにしている=頻繁に洗車している印象が強い。一方で、キレイな車ほど嫌がらせを受けないというか、駐車していて周囲が気遣うことも少なくない。もちろん、個人差はあるけれど。車の塗装を保護する役目もあるからキレイに越したことはない!と筆者は感じている。

「コーティングは結構な費用となりますが、洗車であればコイン洗車やセルフだったり、比較的安価に、定期的に行うことができますよね。いつもキレイにしておくことが大切です」

 

コーティングへの熱量がハンパない橋本さん

「コーティング剤の種類って信じられないくらい膨大にありまして、実は怪しげなものもあります。私自身、いろいろと試している中で、本当に長くキレイな状態を維持できる商材をご紹介したいですし、『なにこれ!話が違うじゃん!』というイメージをお持ちの方の意識を払しょくしたい気持ちもあります。車のコーティングって、奥深いんですよ」

溶剤の豊富さもさることながら、施工する職人の技術力も問われるカーコーティング。工程数は少なくても20くらいあり、それぞれ丁寧さが求められる。特に、下準備の洗車や鉄粉除去など、最初の段階でいかに汚れを落とせるかがポイント。とはいってもその後の工程が楽になる、というわけでもなく、長続きする輝きを手にする道のりは長い。磨きも力の入れ加減によって、ボディーを傷つけてしまうこともあるし、材料を間違うととんでもない事態になることもあるという。各工程において、適切な溶剤と高度な技術が求められる。

「根気のいる作業だと思われますが、車をキレイにすることが大好きですから、むしろ楽しいんですよ。頑固汚れもスッキリしていきますし、段々と輝いていきます。ヘッドライトの曇りとか黄ばみも新品に近いくらいピカピカになると、この達成感と言いますか。お客様さんの愛車とはいえ、キレイになった瞬間の喜びは最高ですよ(笑)」

 

自分のお店を持つ夢が、ある日突然やってきた

「起業のきっかけは、今まで勤務していた『カーフレッシュ新潟』の石川社長から『独立する?』と、何気なく言われたことでした」

いつか独立しようと考えていた橋本さん。その“いつか”は突然やってきた。『カーフレッシュ新潟』で保有していた物件を譲り受ける形となり条件面ではいい状態ではあるが…悩みどころはないことはない。

「設備としては申し分ない、完璧な状態です。広さ、作り、明かりなど、コーティング専用としてすぐオープンできるくらいです。で、課題はここからなのですが、どうやってお客様に知ってもらうかです。『カーフレッシュ新潟』からのご紹介いただけることもありますが、そこだけに頼ってしまうと事業がうまくいかないと思います。ご紹介いただきつつも、自分でも新規を獲得していかないといけない。自分でも十分!分かっていますが、売り込みとか営業活動に苦手意識がありまして(笑)」

人は苦手と感じるものは後回しにしがち。できれば目にしたくない、やりたくない、なんだかんだ理由を付けて遠回りすることもある。苦手意識を克服することはそれ相応、いや、倍以上の努力が必要だと筆者も理解しているが…遠回りしてしまう(泣)

「事業計画を作るにあたり、また、資金調達をするために向き合わなければいけません!ですので、上手に営業していこうと考えています」

頑張れ!橋本さん!

 

マニアックなテクには車好きが唸る美学が詰まっている

橋本さんのコーティング技術は先ほどの通りではあるけれど、どれほどの熱量と思いがあるのかさらに深堀していて驚いた。マニアックすぎるテクニックがここにあった。例えば、アメ車のカスタムカーで人気のあったマットカラー。ここ最近は高級車でよく目にするけれど、メンテナンスはかなり大変。虫汚れやシミといった洗車すら難しく、それがコーティングとなったら…である。

「マットブラックの染み抜きを施工させてもらいました。なにせ使ったことがない溶剤を起用したり、施工テクニックも普通では無理ですから調べ上げた上で、ちゃんと適切な処置をしました。特殊なカラーや加工だとしても、ものすごく高額の施工料がかかるってわけでもないのでご安心ください」

また、コーティングに関しては新車や中古車の購入時に施工してこそ本来の機能が発揮できるという。

「特殊なライトで照らさないと発見できない傷、バンパーの下、ステップの下、ドアを開いた時の側面とか、トランクのサスペンションがあるところとか、給油口の空間とか、特に新車購入時にはトータルでコーティングしていただきたいです。中古車の場合は購入時に多少の傷や汚れありますけど、施工した方がいいです。効果の持続性に差が出てきます。また、車の管理環境にもよりますが、ボディの劣化スピードにも差が出ます。技術力×適切な溶剤のチョイス、間違いないです!」

そんな神経質にならなくても…と思う人もいるかもしれないが、いつも車をピッカピカにしておきたい人やこだわりの人は「このテカリ!」と追求し続け、仕事が休みの日は洗車をしたり磨いたり。人それぞれの価値観である。

 

飽くなき追求こそ職人、好きこそ物の上手なれ

職場の環境は違っても、橋本さんの仕事は変わらず車を磨き続けること。職人だからこそ、仕事と生活の境目はなく、街を走ればコーティングをしている車に目は行くし、スマホを持てば技術的なことを検索するし、いろいろな溶剤を買って試したり、要するにコーティングに夢中である。だからこそ、自然と他とは異なる差別化された技術が備わっていき、マーケティングにおいても優位性が高まり、気が付いたら経営学者マイケル・ポーター氏が唱えている『競争戦略』が築かれていた。

「気が付いていたらそうなっていたというか…です。技術を極めたいですし、難易度が高いコーティングにおいても、なんとか磨き上げたい!です。傷が深くて板金をしないといけない状態であったり、著しく劣化していたり、もしくは、施工できないものについてはちゃんとコーティングができない理由をご説明します」

悩みに悩んだ施工メニューはようやくまとまりつつある。橋本氏の思いがすべて詰まった“おまかせプラン”的なものや、そこまで手は出せないけどコーティングでピカピカにしておきたいフレンドリーなプランもある。また、ホイールのコーティングであったり、ガラス面であったり、橋本さんが「ここは絶対キレイにした方がいい!」というピンポイントな施工メニューもある。

「オシャレは足元からって感じでホイールもコーティングしていた方がいいんですよ」

橋本さんが目標にしているコーティングの職人がいる。話を聞けば…吹き上げるクロスはドアパネル1枚ごとに新品交換したり、磨き方といった技術面はもちろん、情報発信についても高度な戦略をもって展開されているという。

「憧れの存在です。いつか私も、そうなりたいです」

 

生活するために欠かせない車。
キレイにしたいけど、ついつい洗車は後回しだったりする。
いつもピカピカの車を見れば、
なんだか人となりが見えてくるのは気のせいか。

見えるところはいつも以上に、
見えないところはさりげなく艶やかに、
橋本さんのコーティングは気持ちも明るく磨いてくれる。

 

橋本純さん

ガソリンスタンドでのアルバイト時代に洗車を担当。お客様にとても喜ばれたことがきっかけで車をきれいにすることが好きなる。何社か経験した後、よりハイレベルのコーティングを目指したいと独立。

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