「コトバの言葉」は、とあるお店を目指して杜の都・仙台へ。仙台駅から歩いて10分くらい、地下鉄・五橋駅からは出てすぐ、目と鼻の先にあるのが2024年8月20日にグランドオープンしたカフェ『CAFE LABYRINTH sendai』。今回の目的地だ。しかし…カフェといっても…どこにお店があるのか…教えてもらった住所をもとに、付近をうろうろして見上げると『ユーリン堂』の看板(正式名は有隣堂)。その上には『表装教室』とある。軒先には観葉植物がたくさん並んでいて、ココが本当にカフェ?と思ったら店名のサインがベージュのレンガと同化して…気がつかなかった(泣)

「ユーリン堂、いい味出してるでしょ!お客様から『ほら、あのユーリン堂の看板の下のカフェ』と、言っていただける感じを意識してます。この観葉植物は窓を開けた時の目隠し的な(笑)です。いずれ、この建物全体を緑化しようかなって」

オーナーの間瀬貴文さん、と言うのも恥ずかしい限りですけど…実は筆者の兄。インタビューというインタビューではなく、世間話をしながらお店の話をするにも、どうも…である。そりゃそうだ。

「ゆっくりしていってよ」

んーオシャレ!とストレートに言った方がいいだろう。兄の店だから、というヨイショ的なコトではなくて、いろいろと細かいところまで見ていると〝こだわっている〟というコト。オープン間もない訪問にも関わらず、いい意味でエイジングしている(カタカナで言えばオシャレ感が出ると思っての表現で恐縮です)。

「仙台駅前にあった『BUDDY BUDDY SENDAI EDEN』と『ASIAN TRIBE』で使っていたアイテムを、前職の会社『DIX FAMILY』から使えるモノがあったらそのまま活用していいよって言ってもらえて、ありがたく受け継がせていただきました。新たに取り入れたモノもあって、その混ざり具合がちょうどいい感じなんですよ」

テーブルと椅子のバランス(高さです)、光がひと方向から差し込むコントラスト、ほどよい天井の高さ、いつか2Fに何かができると期待させる階段。誰もいないとまったりとした空気が流れているけれど、ランチタイムは大変な舞台になるそうだ。

「お店周辺にある会社で働く人たちから大学関係者、学生、ご夫人たちと、オープンしてまだ日が浅いのに、おかげさまでランチタイムは満席になるコトが多いです。みなさん限られた時間のランチタイムなので、できるだけお待たせしないようにすぐ提供できる料理を考案して、あらかじめストックしたり、創意工夫をしています」

ランチタイムに楽しめる料理一例をご紹介!どれも美味しそう!いや、美味しかったです(笑)

ガパオライス

海南鶏飯〜ハイナンチーファン

鶏のルンダン

 

心地よさとカフェを突き詰めた先に見えてきた〝粋な心意気〟

「この五橋で行き交う人たちを見ていると、観光客はほぼいなくて地元が中心。そんな場所柄を考えると、ランチ難民が多かったりして、選択肢も仙台駅前より少なかったりすると、こういったスペースも受け入れてくれるかなって。ランチタイムはゆっくり過ごすというよりはスピード。1時間の休憩であれば、30分でご飯を食べて、15分はコーヒーとかお茶でまったりしながらスマホ、残りの15分で移動、というサイクルに浸透していけるかが鍵です」

メニューを見ると、インドネシア、タイ、シンガポール、ベトナムなど、東南アジア系=エスニックが多く、あの熱気ムンムンの屋台を彷彿とさせる。オーダーから調理、そして提供まであっという間。「そういえばさぁ〜」なんて話をしていると「どうぞ〜!」って具合に出てくる。

「早く、丁寧に、ちゃんと作ってご提供するよう心がけています。待っている時間も楽しんでもらいたくて、前菜として四季折々の野菜を使ったサラダをさっと出せるようにしています。時々、温野菜をミックスしたり、温冷の変化とか食感とか、そんな感じのサラダです。それと、ハーブウオーターとかレモンウオーターとか、暑い時なんか炭酸水とか、そんなドリンクも提供しつつ、お客さんとおしゃべりしたりで。これが当店のおもてなしです!」

特に、サラダにかける熱量はちょっと高くて、いつか自家栽培の野菜で彩られるという。

「農家の知人がいつでも使っていいよって言ってくれて!野菜を育ててみたいコトも興味津々で、こんな野菜があるんだよ!って、いろいろな種類を作りたい。で、サラダとして出す時なんかは、この写真のジャガイモが温野菜なんですけど、フライドポテトも食べたいでしょ?マッシュポテトがいい?ポテサラ?だったらさぁどうぞ!って感じでぜ〜んぶテーブルに持ってきたりして(笑)あれこれ食べたいなって感じているなら、丸ごと楽しんでもらいたなって」

ココで『CAFE LABYRINTH sendai』の空間をご覧いただこう!

マーケターの森岡毅氏のコトバを拝借するなら、マーケティングでいうところの「エボークト・セットにいかに入り込めるか」という視点で考え抜いた筆者アニの戦略。お店に行ったときは、この空間とメニュー、サービスに至るまでじっくりと見ていただきたい。

 

〝北の大地&みちのく〟で学んだコトが今日を最高に輝かせていく

間瀬アニ(兄で長男※筆者は三男)は北海道札幌市を中心に展開している『DIX FAMILY』に所属。道外初展開『BUDDY BUDDY SENDAI EDEN』立ち上げのために単身で仙台市へ転勤。新規事業のため知人友人も、地元のコミュニティーもゼロスタート。まちづくり、地元の名士、学生たちのコミュニティーなど、いろいろな人に助けられながらも口コミで知られるスポットに成長した。だが、仙台駅前の都市開発の波を受けクローズに。長年、働いていた『DIX FAMILY』を退職し、独立&起業を実現すべく、そのまま仙台に残り『CAFE LABYRINTH sendai』をオープン。札幌と仙台2拠点で培われたローカライズの重要性とコミュニティーを築いていく力は、独立してさらに磨きがかかっている。

「仙台には常連さんや知人、人材にも恵まれていたため、また、応援してくれる人もたくさんいましたから、これはもう仙台で起業だなと。また、有隣堂の大家さんとの出会いが決定的で、一気に話が進みました。実は、前にこのビルの近所に住んでいて、前々から気になっていたんですよ。ある日突然、貸!の張り紙を見て即電話!今が突き抜けるタイミングだ!と。で、大家さんとの初対面で…それはそれは緊張しました(笑)絶対ココでお店をしたい!という思いがあふれていたので、この熱量をどう伝えたらいいのかって。話すほどいい人柄のいい大家さんで、この出会いにとても感謝しています。仙台には運命的な、何か縁があるなって感じます」

すでに次なる構想は描いていて、カフェだけでなくイベントやライブなど、このカフェを活用して新しいカルチャーを、自分らしいコミュニティーを創っていきたいという。

会社員から異業種へ、異業種から独立、創業へ。

磨かれながら学ぶことは、いつの日か人の役に立ったり、喜んでもらえたり。

気がついたらCAFE LABYRINTHをベースとした エコシステムが創られているだろう。

「次、いつくんの?」

よし、行くか!

 

間瀬貴文さん

新潟市出身、大学時代から北海道へ。札幌市内にある大手建設会社にて現場監督などの一連の業務に携わる。その後、異業種の飲食の世界へ。多店舗展開をしている『DIX FAMILY』で飲食業のすべてを学ぶ。新規事業として仙台市へ進出した『BUDDY BUDDY SENDAI EDEN』立ち上げに携わり、人脈から業者まで新規開拓をしながら産官学から支持されるお店に成長するも、都市開発の波を受けクローズに。2024年8月、念願だった自身の店『CAFE LABYRINTH sendai』をオープンした。

CAFE LABYRINTH sendai
仙台市若林区清水小路8-40
月曜〜金曜11:30-23:00、土曜12:00-23:00 日曜・祝日休
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