鋭い眼光と熱気!常に真剣勝負とはこんな感じだろうか。グワっと目を見開いて、瞬きなんてしない!朝起きてから寝るまでフルスロットルの山本さんはいつもギラついている。
「そんなワケないです(笑)」
いやいや、山本さんの背後から何か湧き出ているくらいの熱!とにかくビジネスに夢中のご様子だ。
「大阪から新潟へ引っ越し、知人も友人もいないこの地で事業を始めました。当時は不安しかなかったです。知り合いは誰もいないし、事業を始めようにも初めてのコトばかりですから、全部独学。そうです、知らないコトが知らない!分かっていない!という感じでしょうか(泣)」
2016年、結婚を機に新潟へ。自宅でもあった賃貸アパートで『鍼灸パルシェ』をオープンした。柔道整復師、鍼師、灸師の国家資格を持っていたから、技術的な心配はなかった。振り返ると、鍼灸の世界に入って15年(2024年現在)が過ぎようとしていた。
「鍼灸の業界は専門性が高く、マニアックと言われればマニアック。今、世の中っていろいろな体の不調を改善するメソッドがありますよね。そうした競争の中で、鍼灸は歴史が古くから知られていて王道の王道。とはいっても、どちらかというと若年層の認知度が低い。それでいて女性の鍼灸師は男性に比べてすごく少ない。国家資格であるコト、歴史があるコト、体の変化や調整が実証されているコト、これらを考えると信頼とか信用が厚そうなイメージだと思われますが!鍼灸自体が広まっていかないんです。針を刺しますから〝痛そう〟って思われるからですかね?」
筆者自身、鍼灸は未経験。施術の写真だけを見ると、顔に針がびっしりと刺さっているから、見ているだけでも…ひえぇぇ〜〜〜〜となるワケで。「細い針ですから大丈夫ですよ」と言われても刺されているワケで。受けたコトはないけれど苦手意識がすでにある。
「まずは1回、受けていただきたいですね。針を刺して不調を整えるので、針で痛い!というコトではなくて、針を刺して楽になる、という考え方が合ってます。とはいっても、未経験だと不安ですよね。わかりますよ、よ〜くわかります」
山本さんと話していくと、ここ最近は決して若年層に弱い、というワケでもなさそうだ。
「『鍼灸パルシェ』は女性のライフステージに寄り添った鍼灸院で、女性優先の完全予約オーダーメイド制をウリにしています。メインは40〜50代の女性ですが、健康や美意識の高い若年層のお客様が増えてきています。いい動きですよね!」
「マーケティングを学びたくて」という思いが事業を加速させていく
「ブランディング、マーケティングって何だろう。MBAを取ればいいのかなぁって考え始めて。今まで独学だったから体系的に学びたい欲が強いです(笑)」
ホームページを見ると整理整頓されたコンテンツ、文章も整っていて、写真の配置も安定している。Instagramも同様、投稿一つひとつ行き届いている。だけど、山本さんは満足しないという。
「いろいろなビジネス書を読み、事業に活かせるセミナーを聞いたり、とにかく身につけなきゃって思いが先行して、学術的にちゃんと学んできたのか?と言われると急に自信がなくなります。自分の中でも弱い部分だと自覚しているので、ひたすら学び続けて専門家と話をしてどんどん考え方を吸収はしているのですが…本当にコレでいいのかな?って知るほど不安になってくる。コレって何なんでしょう!」
何なんでしょう!と言われても……ですが、筆者もMBAを持っているワケでもなく、クリエイティブや編集業界においてブランディングやマーケティングを実践してきて、山本さん同様、独学のため…いや、厳しい先輩方に鍛えられてきたので(泣)、資格はないけれど現場主義というか…である。
「生きたマーケティングじゃないですが!最先端!うらやましい限りです!」
学びたい!と強く思うようになったきっかけは、とある補助金申請だった。マーケティング領域の視点で記すところがあり、どの項目も似たような内容になったり、書き分ける=質問に対しての答え、の視点があっち行ったりこっち行ったりだった。同じような言い回しも多様にあり、また、抽象的な表現が多いため、もしかしたら表現や構想が一人歩きして実態を伴っていないと感じた。
「表現をうまく整理できていなかったと思います。コレってどの領域の解釈でいいの?って不安になりながら書いていたと思いますし、読み返すと私は何を言っているんだろう!と恥ずかしくなったりもしました。そんな状態だったんですよ」
鍼灸パルシェのコンセプトやビジョンを聞いていると、しっかりとマーケティングされていると感じた。視点の置き方と文脈を整えて、概念に対する先入観から脱却すれば、山本さんが描く理想のマーケティングに行き着ける、はずだ。
「知れば知るほど面白いことが分かりました!何だか楽しくなってきました。しっかり学びたいなって思いが強くなったので、社会人大学的なところ(内緒)へ入学するんですよ」
山本さんのこの勢い!である。
ところで…鍼灸パルシェの戦略はどこを向いている?
この思いに圧倒されながらも、山本さんの事業について聞いてみた。
「今まで住宅街の中に佇む完全予約制のサロンとして営業してきました。何とかお客様にご利用いただいて、新規開拓も頑張って、一生懸命に顧客数を増やしてきました。で、先ほどのマーケテイングのところで心機一転かなって思い、補助金を活用しながら移転しちゃおっかなーって!もっとたくさんの人に健康になってもらいたくて。体の不調を整えたい、改善したい人たちに寄り添いたくて。この思いを伝えていくには今の場所から移転して、事業としても広がりを持たせていこうかなと!」
そんな話をしてから2週間後だったと思う。『鍼灸パルシェ』がワンステージ上を目指して事業計画も作り上げているだろうと思ったら…。
「家、買いました(笑)」
とってもカジュアルに、大きなお買い物をする山本家である。
「勢いで買っていると思われますが、ちゃんと考えに考えて、家族会議も開いて、検討を重ねて決断しているコトをご理解ください(笑)」
え、えーっと、『鍼灸パルシェ』の話に戻すと…である。強化すべきポイントはやはりマーケティングにおける①ブランディング ②クリエイティブ ③事業拡大における収益性の強化 の3つがあり、④働き方改革 ⑤健康マニア・健康リテラシー向上のための講演活動 の2つにも取り組むという。つまり、適正なマーケティングをするコトで事業の強化であり、強いマネジメントであり、意味を再定義したブランディングを図るというコト。これらをちゃんと表現してお客様と向き合って、地域や社会に浸透させていく、という構想なワケだ。
「曖昧なコトバで伝えていたと思っていたコトも、自分の思い込みで伝えきれていない、伝わっていないかもしれない。その〝思い込み〟から脱却するにも今がとても大事な時期だと感じています。ココでしっかりと考え抜いていかないとブレブレになってしまいます。襟を正して引き締めないと!」
はい、財布の紐も!ですね。
鍼灸パルシェきっかけで、健やかな暮らし、生き生きとした毎日へ
ところで、いろいろと山本さんのルーツを辿ってきたワケだけど、鍼灸についてもしっかりと伝えておきたい。新・鍼灸パルシェにて、口コミで評判高い施術を披露いただこう。
「まず、じっくりとお話をして生活習慣や食生活などを把握します。さまざまな視点で症状を捉えていき、根本原因を探っていきます。ある程度、状態を掴めてきたら脈診と触診。カラダに触れながら状態をチェックします」
このカウンセリングが独特で、健康マニアの山本さんだからこそ視点が秀逸。何だか占い師のような感じがするほど〝ズバリ〟である。
「いよいよ治療に入ります。しっかりとお話をして、状態を確認しましたので、型にはめた施術ではなく、その人の症状に合わせた治療をしていきます。で、治療後はアフターカウンセリングを行い、状態の変化や今後の方針などをお聞きしつつ、メンタル的にもほぐれるようにコミュニケーションをとっていきます」
世の中を俯瞰すると体の不調を整えるメソッドは実に多くある。そんな中でも山本さんの施術はとことん女性に寄り添っているコトが特徴で、リピーターや顧客の多くはこのコトに触れている。愛され続ける理由は技術力の高さだけでなく、山本さんの人柄もあり、話せば話すほどその魅力に吸い込まれていく。
「女性の笑顔って最高なんですよ」
魂を抜かれてしまうほどの熱量と
徹底したビジネス思考で突き進んでいく山本さん
「まだまだです(笑)」
人生、楽しんでます?と、言葉をかけると
山本さんの瞳は純粋な輝きにスッと変わる
「たまには息抜きって思いますけど、それって本当の私じゃないなって(泣)」
夢中になれるって素敵です。
山本幸央さん
秋田県出身。鍼灸師、柔道整復師国家資格取得後、婦人科・不妊治療を得意とする鍼灸院に5年勤務。 その後、真のホスピタリティーを学ぶため、某有名テーマパークに勤務。同時に往診開業をし、経験を積む。結婚を機に新潟へ転居。笑顔あふれる鍼灸院をめざし「鍼灸パルシェ」開院。
鍼灸パルシェ
新潟市中央区南笹口1-9-8クレセントヨコイⅠ-103
10時~18時30分※土曜9時〜17時30分、日曜・月曜休み
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