華麗なる料理と言って頭に浮かぶのは、贅を尽くした結婚式でのおもてなし、VIPを招いたレセプションやセレモニーではないか。まるでアートのごとくどの角度から見ても美しく、スマホ連写!はもちろん、ずっと眺めていたいくらいの逸品。ただ眺めているだけでなく、一口食べた瞬間からして美味しくて号泣(それくらいうまい!ってコト)するくらいの感動がある。まるで某アニメのように目を閉じれば美味しい世界への旅(ミスター味っ子風に)が始まるだろう。一体、何の話をしているのか?と自問自答するところで、今回の主人公、シェフ山本さんである。

「全国展開をしている結婚式場で、全国の式場で提供されるメニュー開発もしていました。ここ新潟では料理長という立場でありつつも、他県のヘルプに行ったり、忙しい中でも楽しませていただきました。私が考案したメニューもいろいろあって、多くの新郎新婦、ゲストの皆さまに好評だったんですよ。嬉しい限りです」

カタログを拝見する限り、美味しそう〜〜〜!肉厚い!盛り付けも素敵〜〜〜!なワケで。フレンチを軸に研究し尽くされた一皿のオンパレード!しかも、デザートも心が踊る、それはそれは!たまらないワンプレート。ウエディングケーキ?言葉を失うほど見事な仕上がり。結婚式ってコレだから楽しいし、ワクワクするし、最高なワケです。お金は…しますが。

「食材がそれなりのクオリティーですから料理人の腕も磨かれますし、手から伝わってくる質感というか、食材の状態を確かめるコトで目利きが研ぎ澄まされていきます。これらの食材をいかに調理をしてゲストの皆さまへ振る舞うか。全体をどう監修して、お客様にとってベストなのかを導けるのか。シェフは新郎新婦だけでなくご親族やゲストの皆さまに対して大きな責任を背負うワケです。ある意味、緊張感があるからこそ集中して、神経を尖らせてベストパフォーマンスをする。シェフの醍醐味です」

 

フランスで食文化と向き合い、料理人としての基礎、シェフとしての心を学ぶ

「ミーハーだったんですね、私。TVドラマ『王様のレストラン』を見ていて料理人ってかっこいいなって思って。それで料理人を目指したんですけど、ドラマの山口智子さん好きだったので…子供ながら。で、料理の道に入っていきました(笑)」
その道のプロにはいろいろな理由がある。ほとんどのケースで純粋な気持ち。そう、山本さんもミーハー路線にまっすぐ!純粋である(笑)


「関西出身で、子供のころはいわゆる進学校に在籍していて、親は大学へ行くコトが当たり前だと想定していたはずです。でも私はドラマを見て(笑)料理に首ったけでしたし、手に職を付けたいと思っていました。親には、大学ではなくて調理専門学校に行きたいと伝えたら、それはそれは猛反対ですよね。今、私には子供がいるので親の立場が分かるようになりましたが…当時、逆の立場だったら猛反対したと思います。そんな当時の私を受け入れてくれて、学費も出してくれて、フランスにも行かせてくれて。感謝しかないです。本当に感謝です」


山本さんは辻調グループ フランス校にて、本場の味を学びつつ語学も習得。ロワール地方にある『シャトー・マルセイ』にて実地研修を受けた。主に前菜を担当していた。
「素晴らしい経験でした。フレンチの基礎を現地のシェフから教えてもらえましたし、フランスでの生活もあったので食文化以外も体系的に学べました。基礎があって応用があるように、現地滞在は私の人生において貴重な時間でした」


卒業後は兵庫県西宮市にある『ビストロ・ドゥ・ペリゴール』にスーシェフとして現場を任され、その後、ブライダル業界ではハウスウエディングというスタイルを確立させた『株式会社テイクアンドギブ・ニーズ』に入社。シェフとして先進的な取り組みだけでなく、現場管理や労務、原価管理、人材育成などマネジメント業務にも携わってきた。
「基礎から応用、その先を求めて経験を積んできました。夢を叶えるには料理人だけの技量だけでなく、お店を経営するマネジメント視点も求められますから、そういった面で自身を振り返ると着実に階段を登ってきたと感じています」


大阪勤務から新潟へ転勤し、新潟の地で奥様と出会い結婚。新潟での定住を決意した。
「フランス料理と聞くと、縁遠いというか、お店へ行くきっかけって少ないですよね。新潟の街を見渡せば王道はあってもカジュアルに利用できるお店は少なく、どちらかというとイタリア料理店の方が多い。もしかしたら、フレンチとしての選択肢を増やせば、もっとフランス料理を知ってもらえるんじゃないかって考えていき、だったら自分が新しい選択肢のひとつとしてお店をすればいいかなって」


山本さんの行動力の裏側には、基礎があっての応用があり、思いつきのアイデアと感じてもちゃんと根拠がある。コレが経験、というコトだろう。
「私、ミーハーですから(笑)」

 

AY的フランス料理をちょっとだけ!(山本さんの解説付き)

お話を聞くだけでは料理を想像できない!ということで、実際に見て、美味しさを感じましょう!ということで山本さんに腕を振るっていただきました。山本さんの解説付きです!

★前菜

私、野菜ソムリエの資格を持っていますので、野菜をしっかりと楽しんでいただきたく!エディブルフラワーも取り入れて美味しく仕上げています。ただカットするだけでなく、見せる切り方をしたり、巻いたり、焼いたりして、野菜のポテンシャルをグッと引き出しています。直前にバターオイルをかけていただき…あ、あ〜かけすぎちゃいました!すみません!

★メインディッシュ

フランスの伝統料理のひとつです。チキンのトマト煮というコトですが、ビネガーを立たせた味付けがフランス流。野菜も大きめにカットして食べ応えもあると思います。こちら、召し上がる時にクリップを外して、フィルムを広げてください。そうすると、ハーブとトマトやビネガーの酸味がふわっと伝わってきて、このひと手間が美味しさを駆り立てるんですねぇ。

★ デザート

メレンゲ、ホワイトチョコ、マンゴープリンと、夏を感じさせるデザートです。意外とボリュームを持たせていまして、これならスイーツ好きにも喜ばれると思います。ドリンクとセットで500円(税別)なんですが…ちょっと値付け間違えましたかね。皆さんに楽しんでもらいたくて。グランドオープンしたらちょっと仕様変更すると思いますがご了承ください。

はぁ、食べたい。ゆっくりと、時間をかけて味わいたい。見た目がもう、ウエディング仕様ですから見ても美味しさが伝わってきます。そして、カトラリーのグリップ力がたまらないんです。ちゃんと持てて、料理をちゃんとキャッチできる。当たり前のコトを、当たり前に仕上げてくるあたりがシェフ。山本さん、予約してもいいですか。

 

〝磯野しずか〟のごとく、新潟の地で夢を叶える意味

2024年6月27日、夢描いていた自身のお店『AY〜food&wine, café&sweets』はオープンした。事業計画をちゃんと整えて、お店のコンセプトから接客、メニュー、仕入れや情報戦略まで、ありとあらゆるコトを自分の力でやり遂げた。料理人の人脈に頼理、相談するコトもたくさんあった。


「こうしてオープンできました。今までは何十人ものチームで動いてきましたが、今度は自分一人と仲間になってくれた数名の人のみ。もちろん、この環境に慣れるというよりは、楽しんでやっていくワクワク感でいっぱいです」

料理と向き合いながらも
あの時、反対していたけど話を通してくれた親がいたからこそ今がある。


いつの日か、恩返しをしないといけないとずっと思い続け、
感謝のコトバを料理と共に伝える時が、きた。

ミーハーだったあの頃、
憧れていた料理長・磯野しずか(山口智子)は
偶然ながらも新潟県出身という設定。
これも、また山本さんの運命なのだろう。

「たまたまですよ(笑)」

 

山本章さん

神戸市出身。辻調グループ フランス校にてフランス料理を学び、卒業後は西宮市『ビストロ・ドゥ・ペリゴール』、その後『株式会社テイクアンドギブ・ニーズ』へ。料理長として全国規模で提供しているコース考案や新メニュー開発にも従事。2024年6月独立。

Ay〜food&wine, café&sweets
新潟市東区粟山1-22-1
11時30分~14時、14時~16時、18時30分〜21時 水曜※火曜はランチ営業のみ 駐車場あり
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